【たびワイン】ブドウ畑の土について

皆さんがお店でワインを選ぶ時、何を基準にワインを選びますか?
どこの産地のワインか、どのブドウ品種を使っているか、今日のお料理に合うか、それとも値段でしょうか?
フランスのアルザス地方北部に「ル・ビストロ・デ・サヴール」と言うレストランがあります。そこには、とてもユニークなワインリストがありました。
ワインはブドウだけを原料とするお酒。ワインの良し悪しはブドウで決まると言えるほど、上質なブドウを栽培するのはとても大切なことです。上質なブドウを栽培するのにとても重要なことのひとつが、畑の土です。
ブドウを育てる土壌には色々な種類があり、その種類が最終的にワインの味わいに影響することがあります。産地の土壌をしることにより、その土地のワインの味わいが見えてくるかもしれません。

地球は固い岩盤、すなわち基盤岩でできています。その基盤岩を覆っているのが土壌(=表土)。土壌は土砂や火山灰などの鉱物質と草花や植物、動物、微生物などの有機物でできています。土壌(表土)は砂、砂利、粘土シト、黄土、ロームなど、様々な粒子を含み、それぞれが出来上がるブドウに影響を与えています。

例えば「砂利」。砂利は太陽熱で温まり、畑の温度を上げる効果があります。そのお陰でよく熟したブドウからはアルコール度数高めのワインが造れます。また、フランス、南ローヌ地方(写真)のように、一日の寒暖差が激しい地域では、砂利の熱が夜中ブドウの根を温めてくれます。世界で最も高貴な砂利質の土壌を持つのがボルドーです。
17 世紀の頃、ボルドーの地域の中で全く役に立たない沼地をオランダ人たちが開拓したところ、大量の砂利が出てきました。
この地方の熟しにくかったブドウが美味しい果実となるうえで非常に効果的だったのは言うまでもありません。
またブドウは乾燥した土地を好みます。その点、砂利は水はけも良いので湿度が高くなることも多いこの地方にはよく合いました。砂利の色が明るければ明るいほど太陽光を反射しつつ地面を温める効果や保温性が優れます。


フランス銘醸地ボルドーの有名産地に“グラーヴ(砂利)Graves”と呼ばれる産地がありますが、土地の特徴が地名になりました。アルザスの北部オベルネの旧市街、マルシェ広場にあるレストラン‘ル・ビストロ・デ・サヴール’。
ここでは、土壌別に分かれたリストからワインを選べます。砂利質と石灰岩それぞれの地域のワインを注文し、土壌がブドウに与える影響を感じながらワインを頂けるユニークなレストランでした。