【たびワイン】 ワインはシンプルからスタートしよう
「とりあえずビール!」
海外ではあまり聞かない言葉です。メニューを見る前に「ビール」を注文する、日本独特の習慣かもしれません。いずれにしても、食事の前に炭酸を飲むのはこれから食事を始めるのにとても良い事です。ビールだけではなく、スパークリングワインも同じです。
ツアーでフレンチのコースをご案内する時、初めにスパークリングワインを提案します。
乾杯でスパークリングワインをいただくのはとても理にかなっています。食前の炭酸は、食欲増進はもちろん、胃の粘膜に働きかけて胃もたれを防ぐ効果があるようです。炭酸と適度な酸は食事に進む前の胃の準備ドリンクなのです。
お酒の苦手なお客様には炭酸にレモンを搾ったものを予め用意し、ワイングラスに入れてサービスすると同じ効果がありますし、雰囲気的にも喜ばれます。
私たち添乗員はツアーのお食事でワインを選ぶ機会がよくあります。特に、コース料理でのワインのチョイス、なかなか難しいです。3~4 種類のワインをお料理に合わせて選ばなくてはいけないことも。お客様の中にワインに精通している方がいらっしゃる場合、「気に入っていただけるだろうか」「間違いはないだろうか」私もワインを学ぶ前は、いつもドキドキしていました。
そこで、食材とワインの産地を合わせたり、アルコール度数を調べたり、正解が全く分からず、一緒に食事をしていても、全く食事に集中できていませんでした。しかし、ワインを学んでみたら・・・正解はとってもシンプルでした。
一般的にフレンチのお料理はシンプルなものから複雑な味わいのものに味わいが変化していきます。ワインのチョイスもシンプルなワインから複雑なワインへと進む、これがもっともシンプルで、失敗しないペアリングです。例えば最初にスパークリングで乾杯となると、その品質の良さからシャンパーニュを選ぶ方も多いはず。ちょっと見栄を張ったりして!!しかしシャンパーニュは瓶内二次発酵方式で造られるので、一定の期間熟成させています。そのためかなり複雑な味わいに仕上がっているのです。
ですから、最初に複雑なシャンパーニュやその他の国の瓶内二次発酵方式ワインをサービスしてしまうとその次のワインを選ぶのに少々困るかもしれません。複雑なシャンパーニュのあと、次の白ワインはシンプルなフレッシュフルーティワインが選べなくなってしまうのです。そうなると、どんどん複雑さが増して、お料理とのバランスが完全に崩れてしまいます。
でもやっぱり最初は泡を飲みたい・・
そこで、シャンパーニュのような瓶内二次発酵方式で造る複雑な味わいのスパークリングワインと違って、もっとシンプルな、熟成させない方法で造るスパークリングワインを選んでみてはいかがでしょうか。
タンク内二次発酵、又はシャルマ方式と呼ばれるワインです。時間をかけずに造られるこのスパークリングワインはフルーティで若々しく仕上がります。フレッシュでフルーティな若々しい白ワインと似ているので、食事のスタートワインとしては最適です。
わかりやすいものでは、プロセッコなどいかがでしょう。北イタリア、ヴェネト州辺りで生産されているスプマンテ(スパークリングワイン)です。プロセッコは通常シャンパーニュよりも糖分量がやや多め。もちろん辛口に仕上がっていますが、一瞬口に含んだ時にほんのり甘く感じる、この飲みやすさも食前酒にはバッチリです。
この様に初めから複雑なワインを選ばずに、シンプルなワインでスタートを切ると次のワインに進む時に違和感なく飲めます。
樽の香りがするものや、ヴィンテージの古いものはなるべくコース終盤に選んでくださいね。
初めてのデートで最初に男性がシャンパーニュを注文してくれたら、それはとても嬉しいことですが、あえてシャンパーニュを外した方がその後のワインが美味しくいただける。
そこまで計算してくれる男性がいたら、ぜひ紹介してください、(笑)