【たびワイン】オーストラリア 「ヤラ・ヴァレー」のおすすめワイン<ピノ・ノワール>
オーストラリアのワイン産業が成功している主な理由は、国際的なブドウ品種を栽培して、オーストラリア独自のスタイルを確立しているからと言えるでしょう。
身近なブドウ品種、馴染みのあるブドウ品種にオーストラリアのオリジナリティが加わり、非常に個性豊かな味わいとなるのが大きな魅力です。
今回のオーストラリア訪問の際に訪れたのが「ヤラ・ヴァレー」。
ここでは皆さんご存じの、「ピノ・ノワール」が栽培されています。
フランス、ブルゴーニュ地方の代表的な品種です。と言うことは、「ヤラ・ヴァレー」はブルゴーニュとブドウ栽培環境が似ていると言えそうです。
「ヤラ・ヴァレー」。この「ヤラ」と言う言葉は古い原住民、アボリジニの言葉で、「流れる」と言う意味。
ここには「ヤラ川」が流れています。この川が長い年月をかけて運んできた土で形成された「ヤラ・ヴァレー」の土壌はとても豊かな土壌です。ブドウの樹にとって重要な栄養分は【窒素、リン、カリウム】。これらの栄養分は環境の整のった土壌で自然に生まれます。そのため、この地域では素晴らしいブドウがすくすくと育ちます。
「ヤラ・ヴァレー」でお勧めワインは、まず、「ピノ・ノワール」。
この品種、とても気難しい品種で、暑すぎてもダメ、寒すぎてもダメ、太陽の日差しが強くてもダメ、弱くてもダメ。女の子で言ったら「わがままなお嬢さんタイプ」のブドウです。
しかし、「ヤラ・ヴァレー」のような好条件で育ったピノ・ノワールから造られるワインの個性は唯一無二で、まさに「美しい」と言う言葉がぴったりなワインとなります。それでは今回のピノ・ノワールテイスティングコメントです。
【Rochford:Upper Yarra Valley Pinot Noir 2020“Single Vineyard Dans les Bois”】
鮮やかな、淡い紫色のワインで、鼻をグラスに近づける前から甘酸っぱい香りが感じられます。赤いスグリやクランベリー、その反面少し緑の香り、ユーカリの森にいるような。それもそのはず、このワインの名前「Dans les Bois」とは、フランス語で「森の中で」と訳され、このワインの収穫されたブドウ畑は四方を森で囲まれているそうです。
清涼感とまではいきませんが、少し緑の香りが感じられました。
味わいは、辛口で、高い酸味を感じます。タンニンは発達中で今は少し荒めに感じましたが、この先時間がたてば心地よくなるでしょう。やはり味わいにも森を感じるような、少しグリーンな感覚を持ちました。アルコールは12.8%。今すぐ楽しめるワインでもあり、少し寝かせても熟成の可能性があるワインと思いました。
ワイナリーの方のお話しによると、このワインのブドウ畑の土壌は、火山由来の赤い土壌で、花崗岩が露出しています。陶磁器の材料にもなる「石英」がふんだんに含まれているこの様な畑は「ピノ・ノワール」に最適です。しかし2020年は雨が多く、長く涼しいブドウの成長期の気候となり、ブドウの実も少なく収量も多くありませんでした。2020年のワインは特に、この地域の冷涼な気候がよく表れた貴重なワインに仕上がったようです。
同じブドウ畑から造られるワインでもその年の天候により味わいが変わる、ワインはまさに農作物!!
オーストラリア第二の都市、メルボルンから車で1時間。レストランが併設されているワイナリーも多く、観光気分で訪問できる、敷居の高くないワイナリーが多いのも魅力です。
今回は「ヤラ・ヴァレー」のピノ・ノワールをご紹介しました。
ブルゴーニュのピノ・ノワールに比べるとお値段もお手頃です。
和食にもよく合うピノ・ノワール、これから暖かくなる春にお勧めのワインです!